キース受け小説01

□unattainable object.(※)
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わき目も振らず黙々と、情報が表示されたスクリーンを操作していた国家主席のもとに、一通の通達が送られてきた。
前日から続く腰の痛みがもう一度ズキリと疼くような気がしながらもその内容に目を通した彼は、一度だけ軽く拳を握り締めて、また作業に戻った。

「……いつもの…。いつもの、ことだ…」

自分に言い聞かせるように呟いて、手元の仕事に集中する。
彼のもとに送られてきたのは、パルテノンの元老からの勅命。そこに書いてあったのは国家主席キース・アニアンへの『仕事』の件。目を通した文章の中には律儀に呼び出しの時刻についてもきっちりと書かれていた。
その通達を受け取るたびに、キースの身体は震える。
慣れている、大丈夫。いつものことだ。
そう、割り切っているはずなのに、いつも震えは止まらなかった。
想いを抱かない人間に身体を明け渡すのは慣れている。しかしそれでも、誰かの面影に縋りたくなってしまう自分を偽ることもできず。

「……今日は、ここまでにしておくか…」

かぶりを振った彼は「余計なことを考えるな」と自分に言い聞かせ、やがて仕事に一段落付いたところで、スクリーンの電源を落として席を立つ。

「大丈夫…これは…『仕事』なのだから……」

誰にも聞こえないよう再度自身に言葉を投げかけ、キースはパルテノン元老の部屋に向かった。






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