ブック
□HEARTS
1ページ/6ページ
「好きなんだ!」
部活が終わってへとへとの帰り道。
既に周りは暗くなり、ぼんやり道を照らす街灯が並んで見える。
学校の校門を出る前に田島はそう言った。
「…へ?う、ぇ…た、じまくん、あ、あり・がと!」
言われた影が挙動不審に動く。ピッチャーの三橋だ。
「お、おれ!…も、た、田島くんのことっ、す、すきだ!」
どういう意味で捉えたのか。
三橋は薄暗い中でもわかるような笑顔で言葉を返す。
「マジで!」
今まで真剣な顔をしていた田島はいつもの顔つきに戻り、満面の笑みで三橋に抱きついた。
「じゃあさ、俺たち両想いなんだな!」
「う、お!?」
急に抱きつかれ、三橋は転びそうになる。が、とっさに田島が踏ん張りそれは免れた。
「好き」
抱き締めながら田島が言った。
丁度人がくる気配がして、その腕から田島は三橋を解放する。
「よし!明日、朝練の前に迎えに行くな!」
「え?あ、ぅ…?」
「じゃあな!」
三橋が返事をする前に大きく手を振りながら田島は走って行ってしまった。