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□水色の風に乗って
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埃っぽい部室に一人。
外はもうとっくに暗くなり、生暖かい風を運んで来る。
―ガラッ―
窓を閉めて、家に帰るため荷物を手にとる。
「暑…」
外に出るとムアッと熱気に包まれる。
風は温く、肌には不快感しか残さない。
はぁ…と溜め息をつき、帰路につこうと足を進めると、人影が見えた。
(忘れ物か?)
ふと思ったが、生憎もう鍵は返してしまっていた。
(間の悪い奴…)
どんな奴か目を凝らしてみると、ソイツが動いた。俺に気付いた…のか?
「いずみ…くんっ!」
「…へ?」
かけられた言葉に思わず間抜けな声が出た。
(三橋…?)