Novel(黒蝶)

□【未定】
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突然、背後から手が伸びてきた。
その手は何かを持っているようだと、頭の中で思っていた時…俺の口に何かを入れた。

吐き出されないように手で口をしっかりと塞がれる。
入ってきた異物は小さな、薬などにつかわれるカプセルみたいだった。
そのカプセルはすぐに溶けて苦味が口内に広がった。
そして何とも言えない苦しさが自分を襲った。

暴れれば右頬を殴られた。
俺を殴る奴はいったい…


そこで俺は意識を手放した。




白い靄の中に自分はいた。

俺は目を開けた。
視線の端には、蝋燭が1本あった。
ぼんやりとした灯りで、かろうじて見える室内。
辺りを目だけで見回すと、灰色のコンクリートで全てできていた。


体を起こそうと試みるが、体が痺れて動けない。

薬を盛られたらしい。
暴れられないようにだろうか…。
そう考えた時、記憶が蘇った。

確かあの時、薬か何かを口に入れられた。
あれは痺れ薬だったのか…。



「起きたか?」



静かな男の低い声が室内に反響する。
その声はどこか懐かしく、心地良い声に体が震えた。



「…こ、こ…」

「あぁ。何処かって?」



また心地良い低さの声が体を震わせる。



「ここは地下牢だ。」



温かみのあった声が一気に冷たくなっていた。


何故?


「君が逃げないようにさ。」



何のために?


「君が必要だから…。もう、これ以上の質問は受け付けないよ。」



自分が聞きたい質問を思っているだけで答えが帰ってきた。
俺は男の顔を見ようと目を凝らすが蝋燭の明るさが足りないために、見えない。





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