Short小説
□きっかけは彼の子供心
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「ふぅー。今日も俺絶好ー調だったぁ」
ウッシャーと田島が高らかに拳を上げ、今日も楽しくてキツーイ部活はこれにて終了。
みんな精も根も尽き果ててノロノロと部室に着替えに行った。
田島も、いい汗かいたーっと部室に走り出そうとグッと足に力をこめ、ようとしたとき、
「っとりゃぁ」
「フゴォッ!?」
と、いきなり背中に衝撃をくらった。といっても、さすがサードで4番をやっているだけのことはある。
反射神経がピカイチの田島は、なんとか倒れずにその衝撃を受け止めた。
喉元には自分に突っ込んできた者の腕が巻き付き、未だに背中には重みが存在する。
それでも田島はグググッとなんとか首を反転させた。すると、目の前には灰色の物体。しかも、綺麗に曲線を描いている。ソレが何なのかは、普通の人なら絶対にわからない。
けれど野球部の田島には心あたりがあった。
「くぁ花井!んだよっ、危ねぇだろ」
声をあげるも重みは離れることもなく。花井と呼ばれた坊主は田島より長身のため、今足を引きずっている。ちなみに言うと、花井はココ。西浦野球部の主将であり、母であり、田島の彼女!?である。
「そっくりそのまま返してやる!その台詞」
「んだとー」
花井は田島にひっついたまま、あろうことか腕に力を加えた。
「俺がいつもいつも×100言ってんのにヤメネェのはどこのどいつだ!!」
「うぐぅっ…。ギブギブギブー!」
バシバシ腕を叩くと花井は力を緩める。けれど、それでも田島から離れることをしなかった。
「ん〜。どしたんだよ花井」
「………。あぁ〜。んでもねぇ。いいゃ、このまま運んでくれ」
「おまっ、ムリ言うなよ」
「んだょ〜、いつも俺が運んでやってんだろ〜」
グランドにへたりと二人は座る。いや、正確には田島が下に座り込んだため、くっついていた花井も座らずにはおえなかったのだ。
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