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□それでも僕は君が好き
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最近、シリウスの様子がおかしい。
まあ原因は分かっているんだけれど。
シリウスが気にすることなんて、彼の最愛の恋人以外あり得ないんだから。
非常にわかりやすい性格なんだ。
好き嫌いがはっきりしてる竹を割ったような性格、といったら聞こえはいいけど、要は根が単純なだけなんだよね。
そこが可愛いといえば可愛いんだけど。

あ、ついにシリウスが行動を起こした。
そうだよな、うじうじ悩むのなんてシリウスの性に合うわけがない。

「リーマス、お前、何か俺に隠し事してないか」

うわ、直球勝負にでちゃったよ。
それはシリウス君、完全に君の負け。
リーマスがそんな簡単に言いたくないことを言うわけないでしょう。

「ううん、シリウス、隠し事なんてしてないよ。あ!僕、ピーターと約束してるんだ。ごめん、シリウス。時間に遅れそうだからもう行くよ」

ほら、はぐらかされた。
しかも無敵スマイル付きで。
シリウスあれに弱いんだよね。
何も言い返せないでやんの。
「ああ、気をつけてな」とか言いながら手振ってるし。
リーマスが見えなくなった途端に肩落としちゃって。
あーあ。馬鹿だなあ。
仕方ない、ここはひとつ哀れなパッドフット君のために、僕が人肌脱ぐしかないか。



とまあ、力強く決意したわけだけど。
僕が悩みを聞きだす前に、なんとリーマスのほうから僕に相談したいと持ちかけてきた。
人一倍我慢強いリーマスが相談したいだなんて……
いったいリーマスは何を悩んでいるんだろう。

「ジェームズ、僕、見てはいけないものを見てしまったんだ……」

重苦しい声で話し始めたリーマスは、本当に辛そうで、思わず抱きしめたくなるほど儚げだった。

「まさか、そんなことあるわけないって思ったんだけど、やっぱり見間違えなんかじゃなくて…どうしよう!ねえ、ジェームズ、僕はいったいどうしたらいいんだい!?こんな、こんなこととてもシリウスには言えないよっ!」

「落ち着いて、リーマス。大丈夫、僕に任せて。絶対、悪いようにはしないからさ。だから、教えてほしいんだ、いったいリーマスが何を見たのかを」

興奮するリーマスの肩を掴んで、癇癪をおこした子ども宥めるかのような声で語りかけた。
効果があったようでリーマスはさきほどの興奮は収まったが、まだ動揺しているようだった。
手が震えているのが痛々しい。

「…ジェームズ、本当にごめん。君に頼ってばかりで、申し訳ないって思ってる。でも、こんなこと言えるのジェームズしか思いつかなくって、それで」

「いいんだよ、リーマス。僕は気にしてないさ。それどころか君の悩みの種を取り除けるのならむしろ喜んで相談にのりたいくらいだよ!何も心配いらないから、さあ、話してごらん?」

リーマスが大きく深呼吸する。
僕を見つめる目はもう迷ってはいなかった。

「あのね、ジェームズ、実は……」

リーマスは僕に悩みを打ち明けてくれた。



……ああ、聞くんじゃなかった!
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