過去ログ
□お触り厳禁
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とりあえずは恋人同士。
だから、まあ、口付けくらいは許してやる。
けれども。
「ん……んん?い、いたたたたっ!!」
腰に回った手が怪しげな動きをした時点でジ・エンド。
これ以上のことを許してなるものか。
「痛い!先生、痛いですっ」
「痛くしているのだから当たり前だろう?」
思いっきり手を捻ってやった。
まったく忌々しい悪がきだ。
「ごめんなさい、もうしませんっ!だから放してくださいー」
半泣き状態のハリーが謝ってくる。
けれどこの間お灸をすえてから、1週間も経っていないことをセブルスはしっかり記憶していた。
こいつは全然懲りていない。
簡単に許してなるものか。
「最近、新しい本を手に入れた」
魔法を使って手元にその本を取り寄せる。
ハリーの眼前にかざすと、面白いくらいに顔色が変わった。
「あ、あの……」
「大丈夫、私には上手くやる自信がある。どうだ、試しに一度」
「わーわーわー!!ごごごごごめんなさいっ、二度と言いつけを破ったりしませんからっ、だから、許してください!」
恐怖に顔を歪ませたハリーは必死だ。
本当に恐がっているらしく、目じりに光るものが見えた。
まあ、これだけやればいいだろう。
この辺で許してやるか。
「その言葉、しっかりと記憶しておきたまえ。もし愚かにも同じことを繰り返したならば…」
おもむろに例の本に視線をやると、すぐさまハリーの顔が引き攣った。
「しませんっ、絶対にしませんっ!」
「ならば許してやろう。ほら、もう部屋に帰りたまえ」
拘束していた手を放すとハリーは脱兎のごとく出て行った。
ふん、馬鹿め。
駄目だと言っているのに繰り返すからいけない。
学習能力がないのだろうか。
ため息を吐きつつ、ハリーを脅すのに使った本を見る。
『心躍る拷問100選〜生かさず殺さずは鉄則☆微妙なさじ加減の素敵な苦痛を与えましょう♪』
しばらくはこれが牽制に役立ってくれそうだ。
とりあえずは恋人同士。
だから、まあ、口付けくらいは許してやる。
けれどもその先はまた別の話。
今のところは、な。