過去ログ

□お触り厳禁
1ページ/1ページ

とりあえずは恋人同士。
だから、まあ、口付けくらいは許してやる。
けれども。

「ん……んん?い、いたたたたっ!!」

腰に回った手が怪しげな動きをした時点でジ・エンド。
これ以上のことを許してなるものか。

「痛い!先生、痛いですっ」

「痛くしているのだから当たり前だろう?」

思いっきり手を捻ってやった。
まったく忌々しい悪がきだ。

「ごめんなさい、もうしませんっ!だから放してくださいー」

半泣き状態のハリーが謝ってくる。
けれどこの間お灸をすえてから、1週間も経っていないことをセブルスはしっかり記憶していた。
こいつは全然懲りていない。
簡単に許してなるものか。

「最近、新しい本を手に入れた」

魔法を使って手元にその本を取り寄せる。
ハリーの眼前にかざすと、面白いくらいに顔色が変わった。

「あ、あの……」

「大丈夫、私には上手くやる自信がある。どうだ、試しに一度」

「わーわーわー!!ごごごごごめんなさいっ、二度と言いつけを破ったりしませんからっ、だから、許してください!」

恐怖に顔を歪ませたハリーは必死だ。
本当に恐がっているらしく、目じりに光るものが見えた。
まあ、これだけやればいいだろう。
この辺で許してやるか。

「その言葉、しっかりと記憶しておきたまえ。もし愚かにも同じことを繰り返したならば…」

おもむろに例の本に視線をやると、すぐさまハリーの顔が引き攣った。

「しませんっ、絶対にしませんっ!」

「ならば許してやろう。ほら、もう部屋に帰りたまえ」

拘束していた手を放すとハリーは脱兎のごとく出て行った。
ふん、馬鹿め。
駄目だと言っているのに繰り返すからいけない。
学習能力がないのだろうか。
ため息を吐きつつ、ハリーを脅すのに使った本を見る。

『心躍る拷問100選〜生かさず殺さずは鉄則☆微妙なさじ加減の素敵な苦痛を与えましょう♪』

しばらくはこれが牽制に役立ってくれそうだ。



とりあえずは恋人同士。
だから、まあ、口付けくらいは許してやる。
けれどもその先はまた別の話。
今のところは、な。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ