種 小 説
□大人の階段
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「アスラ〜ン」
俺が自室で本を読んでいると、ドアの向こうでシンの声がした。
「ア〜スラ〜ン。あなたのシンくんですよ〜。いないの〜ぉ。隠れてるとお仕置きしちゃいますよ〜」
何か様子がおかしい…
俺は本を机に置き、ドアを開けた。
途端にシンが抱きついてくる。
「こら〜っ。何ですぐに開けないの〜っ!!」
「シン…お前酒臭いぞ!?一体、どうしたんだ」
俺が戸惑っていると、シンを支えていたヨウランが申し訳なさそうに説明し始めた。
「…実は…」
ヨウランの話によると、夕食のときハイネがシンとレイに「自分の部屋に来い」と言ってきたらしい。だがレイが「やることがあるから」と断ったため、一緒にいたヨウランとヴィーノが強引に連れて行かれた。
部屋に行くと、ハイネは酒を出してきて『お前等も、これから大人になるんだ。酒くらい飲めないとな!』と…
「ハイネ…」
そこまで聞いた俺は溜め息をついた。