種 小 説
□始点
1ページ/7ページ
レイは議長を捜し、鑑内を歩き回っていた。
『…ギル…』
途中で会ったシンにも聞いてみたが、彼も議長の居場所は知らなかった。
「じゃあ、そういうことで、よろしく頼むよ」
「はい。お話、了承いたしました」
艦長室の近くを通りがかった時に話し声が聞こえ、レイは慌てて声のする方へ駆け寄った。
声の主は、廊下を走ってくる人影に目をやる。
「やあ、レイ。では艦長、失礼するよ」
「はい」
議長はレイに向かってへ歩みを進めた。
レイは艦長に敬礼をすると、議長について歩き出す。
「こんな所で、どうしたのかい?」
「…いえ」
レイが答えられないでいると、議長が優しく囁いた。
「…私を捜していたのかな?」
レイは議長の顔を見上げる。その顔は真っ赤に染まっていた。
「では、何か用があるのだね。私の部屋で構わないかい?」
レイが黙って頷くと、議長はレイの腰に手を回し、滞在中のホテルの部屋までエスコートした。