種 小 説
□抑えられない気持ち
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「今日はアイツ見かけないな」
俺は近くにいたルナに訊ねた。
「あぁ、ザラ隊長?なんか具合悪いらしいわよ。熱があって寝込んでるって副長が言って…あっ、シンっ!?何よ、もうっ」
熱…!?
コーディネーターが熱なんか出すのかよ…
ぼやきながら歩いていた俺は、気づくとアイツの部屋の前にいた。
仕方ない…
一言くらい掛けてやるか…
「アスランさん」
扉の前で呼び掛けるが返事がない。
「アスランさん。入りますよ」
「ニコルーっ!!」
扉を開け中に入った瞬間の叫び声に、俺の体はビクッとした。
「アスランさん!アスランさんっ!!」
俺は慌ててベッドに横たわる身体を揺すった。
「…っ。シ…ン?」
「大丈夫ですか?かなりうなされてましたよ…」
「あぁ……驚かせてしまったようだな…すまない」
無理に微笑む姿が痛々しい。
「いえ…それよりも凄い汗ですよ。着替えた方がいいんじゃないですか?」
「そうだな…悪いが、そこのタオルを取ってくれるか?」
俺は振り向き、イスに掛けてあったタオルを取った。