コルダ小説
□esclusivo
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火原とは一年の時から同じクラスだった。
この三年間、ずっと火原を見ていた。
知らないことはないくらい、俺は火原を知っている。
そう思っていた…
昨日、までは…
だからもう気持ちを抑えようとは思わない。
火原のすべてを手に入れる…
「あれ?柚木〜、まだ帰んないの?」
練習室にいた俺に、火原が声を掛ける。
「ああ、火原。ちょうど良かった。君に頼みたいことがあったんだよ」
「あ…ゴメン、柚木。俺、もう行かなきゃダメなんだ…」
「知ってるよ」
もちろん知っているさ…
「待ち合わせ、だろ?月森くんと」
俺は微笑んだ。
「…柚木っ、知ってたのっ!?」
思いも寄らない俺の言葉に本気で驚いたのか、火原は真っ赤になってうろたえている。
「寂しいよね…俺に話してくれないなんて…」
まあ恐らく、俺にだけは知られたくなかったのだろうけどね…
追い討ちを掛けるように、悲しそうな目で火原を見つめてやる。