コルダ小説
□夜想曲
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「はあ〜〜〜」
俺は誰もいない屋上のベンチに座り、大きな溜め息をついていた。
その理由は、昼休みに友達から聞いた話…
教室で昼飯を食べていたら、何かに慌てた友達がドアから飛び込んできた。
「あ〜、ビビった〜」
「何?どしたの?」
「今、そこの渡り廊下でさ、二年の月森が女子に告られてたんだよ」
「……え?」
一瞬で頭の中が真っ白になった俺は、気づいたらここに座っていた。
「月森くん、OKしたりしないよね…」
周りに内緒で月森くんと付き合うようになって1ヶ月…
月森くんはあの日以来、キスどころか、俺に触れようともしない。
「俺、嫌われちゃったのかな…」
俺は沈む夕日を、ぼんやりと眺めていた。
キーンコーン
校舎の鐘が鳴る。
「あれっ…?うわっ。もうこんな時間!?月森くん待たせちゃうよ!!」
時計を見るともう下校の時間だった。
俺は慌てて荷物を纏めると、月森くんが待つ正門前へ走った。