遙か小説

□月下の宴
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今宵は一段と月が美しい…


隣に君がいるからかな…?





―月下の宴―






鬼との最後の戦いを制したことを祝い、私の館では八葉の皆を集めて、ささやかな宴を催していた。

「友雅さん。私たち…」

「しっ…」

明るい声で駆け寄ってくる神子に向かって、私は人差し指を立て唇に当てた。

「…泰明さん、寝ちゃったんですか…?」

「あっ、ホントだ…きっと、疲れてたんだね」

神子の背中から詩紋が顔を出す。

「こいつも寝るんだな」

「当たり前だろっ。何言ってんだよ。天真は…」

「天真、イノリも静かにしろ」

「頼久の言う通りですよ。二人ともお静かに」

「あの…でも泰明殿をこのままと言う訳には…」


八葉の勤めは終わった。

八葉が会うこともなくなる。

もう、こんな会話を聞くこともないのだろう。
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