遙か小説
□再会
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私には想う人がいた…
いや…「いる」…だ…
過去系ではない…
それに今、気づいた…
「…そして、最後こちらが敦盛くんです」
体が硬直する。
「あ…っ。敦盛です…はじめ、まして…」
舌が上手く回らない。
「ん…?ああ、よろしくな、敦盛」
あなたは平然と私に言った。
以前と変わらぬ瞳で…
胸が苦しい…
私はこの想いから逃れるために平家を離れたのだ。
なのに…
「将臣殿……すみません」
「気にするな。俺とお前は、初対面…ってことなんだろ」
《初対面》という言葉に胸の奥が軋んだ。
あなたは何も知らない。
詫びたのは、黙って平家を離れたこと…
あなたから逃げ出したこと…
…怨霊の身でありながら、あなたに想いを寄せてしまったこと…
全てはあなたの知らぬことだ…