遙か小説
□誘い〜いざない〜
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泰明は、京の通りをあかねと二人で札を探して歩いていた。
突如、二人の前にアクラムが現れあかねを抱きかかえた。
「地の玄武…龍神の神子を帰して欲しくば、私の元へ来るが良い…」
「泰明さーん!!」
「神子ーっ!!」
あかねの叫び声と共にアクラムの姿が消えた。
泰明はあかねの気を追い、人里離れた洞窟へ辿り着いた。
「来たか…」
「泰明さん!!」
「神子っ!!…神子を離せ」
あかねは大きな水晶玉の中に閉じ込められている。
「離して欲しいか…ならばお前もこの中に入るがよい」
アクラムが手を掲げると、新たな水晶玉が現れた。
「お前の…好きなようにはさせぬ」
泰明はそう言うと素早く印を結ぼうとした。
「よいのか?そのようなことをすれば、神子に傷がつくぞ」
アクラムが手を前に差し出すと、水晶玉の中のあかねが苦しみ出す。
「っ…泰…明…さん…」
「くっ…」
泰明は手を止め、アクラムの言うがままに水晶玉の中へ入った。