しりあす?

□メルト
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「は、あ、はあっ。ふーっ」

慌てて軒先に走り込んだ三橋は息の乱れを抑えられなかった。

大きな雨音がホロを、鼓膜を叩く。

身を寄せたスーパーはさびれた様子で、ぴしゃりとシャッターがしまっていた。

「つめ、たい、な」

一人、言葉を紡ぐが聞く相手もいない。
とりあえずはと、ジャケットを脱いで頭をぐしゃぐしゃと拭くが、頭は濡れそぼったままいっこうに乾かない。

困りはてて冷たいアスファルトにしゃがみこむ三橋。うなだれた頭の髪の先からぽたぽたとしずくが落ちる。体が冷えきって身震いをしてしまう。無理もない。ついさっきまで暖かい空気の中でうたた寝をしていた身だ。突然の冷気に体が驚いてしまったのである。

「〜っ♪〜♪」

気をまぎらわす為に鼻唄を歌う。明るいポップス調の曲だった。元気に口ずさむが、急速に落ちていく体温。それに対抗しようと懸命に歌った。

その時。

「それ、水谷が聞いてたヤツか?」

突然の声と共に、雨のカーテンごしにありえない姿を見た。まさか、彼がここにいるわけがない。今日は休日で部活もなかったし、ここは西浦高校や三橋の家から遠く離れた土地だったからだ。
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