山本武生誕祭




↓これまでのカウントダウン↓

カウントダウン@〜I

カウントダウンJ〜Q


◇完結編◇


山本誕生日当日……

ついに来た。山本が生まれた日。昨日は緊張で、よく眠れなかった。散々悩んで購入したプレゼントを見ながら、俺は何回も同じことを考えていた。

山本は喜んでくれるだろうか…?

10代目は大丈夫だと言って下さった。多分アイツなら、きっと喜んでくれる。俺だって、そう思う。アイツは絶対喜ぶ。……でも…

「あ゙ぁー!!くそっ!!」

自分らしくもない無限ループなマイナス思考に嫌気がさして叫ぶ。

(よし!!もう何も考えないでやる!!)

アイツは絶対喜ぶ!喜ばなかったら――果たす!!



(キーンコーンカーンコーン…)

―――放課後。


ダメだ…

うだうだと考えているうちに、ついに放課後となってしまった。

俺の左ポケットには、まだ渡せていない山本へのプレゼントが潜んでいる。


10代目は笹川と2人で帰ることができるとかで喜んでいらしたから、今日はもうとっくに帰宅されたし。

当の野球バカは……



「おい山本!!てめぇちょっと…」

「悪ぃな獄寺、今日いつもより早い集合なんだ!またあとでな!!」

「………。」

今は大好きな野球にご執心だ。





「くそっ…結局言えてねーじゃねーか……!!」

誰もいない屋上で、煙草を吹かしながら1人ごちる。

「なんで言えないんだよ…チクショー……」

自分のこの厄介な性格に嫌気がさす。

なんであのとき言ってやらなかった?チャンスは何回もあった…

すぐに済むことなのに……

ただ一言。

生まれて来てくれたことに感謝してるっていうこの気持ちを。
あいつに伝えたい。


お前と出逢えてよかったよって。


『お誕生日おめでとう』って……!!


―――バタンッ!!!!

勢いよく扉が開かれ、大きな音が響く。
反射的にそちらに視線を向けた。


「…っ!?」

「獄寺ぁ!!」

「やまも…と?」


そこには、息を切らせて肩で息をしている様子の山本が立っていた。

「おまっ…お前、何してんだよ!!部活はっ?」

俺の動揺とは正反対ないつもの態度で、山本は笑っている。

「いや…集合早かった分、少し早めに終わったんだ!グラウンドいたら、獄寺が屋上いんの見えたからさっ!!」

「……ふうん」

「獄寺、一緒に帰ろうぜ!」

「………うん」

「?…獄寺?」


今しかない。

そう思った。

「山本!!」

「何?獄寺…」

俺はずっと前から用意してきたプレゼントを、左ポケットから取り出した。

そしてその小さな包みを山本に向かって軽く放る。

「うわっ!」

少し驚いてバランスを崩していたけど、それは山本の手の中へ吸い込まれるように、綺麗な放物線を描いていった。

「?……獄寺、これ…」

「やる」

「へ?」

「だから、それやるって!!」

山本は何回も瞬きしながら、小さな包みと俺を交互に見比べている。

そんな山本を見ていたら、なんだかまた恥ずかしくなってきた。
自分が、堪らなく恥ずかしいことをしているような気がして……

「獄寺…間違ってたらごめん。これってまさか……」

「いらねぇなら返せ!!」

「いるよっ!いるいる!!いりますっ!!」

取り返そうと手を伸ばしたら、山本は手を上に上げて、届かないようにしてきやがった。

敵わないとわかり、そっぽを向いていることにする。

「どうしよう…」

「なんだよ?」

山本の方へと向き直ると、なんとも言いがたい表情でつっ立っている。

「山本?」

「俺今……めちゃめちゃ嬉しい……」

「え…?」

「獄寺、抱き締めていい?」

「は?」

「獄寺のこと、今ここで思いっ切り抱き締めたいっ!!」

「へ?……ちょっ!!」


反論するより先に抱き締められてしまった。
山本は遠慮なしに抱きついてくる。俺が動かないことに違和感を覚えたのか、山本がそっと問う。

「獄寺…今日は抵抗しないの?」


ほんの少しだけ、勇気を出して。
山本に、俺の気持ちが伝わればいい。

「今日だけ特別…だ。」

「獄寺…」

「……汗くさい」

「……ゴメン;」

「別に…いいけど」


言葉にするのが苦手な俺だけど、精一杯の気持ちを今、届けたい。

山本のシャツの背中を握りしめて。山本の存在を確かめる。

「獄寺…」

「なんだよ?」

「キスしてもいい?」

「……っ!!///」

「ダメ?」

「すっ…好きに…しろっ!!」


山本の右手が俺の顎を捕らえて上を向かされる。


「山本」

「ん?」

「誕生日、おめでとう」

「…///」

山本の顔がみるみるうちに赤くなった。

こんなの滅多に見れるもんじゃないから、今日は貴重な日だな。

「獄寺、大好きなのな!」

「知ってる」

唇が触れ合って、たくさん気持ちが溢れてくる。


『俺も大好きだよ』

とても言えない言葉だけど、重ねた唇から、溢れる想いが伝わるように。


お前と出逢えて、本当に嬉しいよ。

生まれて来てくれて、ありがとう。


いつか、言える日が来るように…願って……


end

アトガキ
まずは土下座!!!!!!
今一体いつですか?山本誕生日はいつですか?ゴメンナサイ…orz
今さらupです。
ぷちスランプからりんたその力で回復しました( ̄▽ ̄;)長かった…(T_T)
さて、今回ですが。あんまり『カウントダウン』の設定活かせてな(ry
獄チャンは山本の汗臭い感じが好きなんだと思うの!!
で、やっぱり「好き」とかは自分からは言えないと思うの!!
元祖ツンデレ獄!!最萌ぇ!!!!

感想などありましたら、是非お聞かせ下さいませ。

ここまで長い間お付き合い下さった方々、ありがとうございました!!!


メイコ

080519
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