文2
□今はただ、
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気が付いた時には、俺は一人になっていた。
抑えられない衝動に従い、人を、物を、自分を、壊せる全てを壊し尽くした。
返り血か自分の血か、判別出来ない赤に染まった両腕を、いっそ切り落としてしまいたいと思った時期もある。
だが、大嫌いな『暴力』を自分の『力』にする事を覚え、ただ壊すだけだった両腕でも、何かを守る事が出来ると知った。
そして俺は、独りでは無くなった。
壊すばかりのこの腕を、好きだと言ってくれる人が居る。
怖がらずに、笑いかけてくれる人が居る。
どんなに渇望しても、手に入れられなかった暖かい感情を、与えてくれる人が居る。
もう、誰かを愛する事など出来ないと思っていた俺を、彼女はいともたやすく変えて見せた。
多分、俺はもう彼女の居ない世界で生きる事は出来ないと思う。
だからこそ、俺が触れてはいけない。
俺が、汚してはいけない。
彼女に笑っていてほしいと願う限り、俺はどす黒い欲に塗れたエゴを殺して、『友人』という鎖に縋り続けるだろう。
側にいてくれ。
ただそれだけでいいんだ。
今は、それだけで。
お題提供:空想アリア
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