お題消化

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「…絵文字ってさぁ」

「どうした、いきなり」

「種類が多過ぎてイマイチ把握出来ないんだよねぇ」


携帯片手にふと思った事を口にして、へらりと苦笑を浮かべた。

普段、絵文字を滅多に使わないモノクロなメールを送ってる私に、メタルマンは納得したような視線を向ける。


「…だから、お前はあまり使わないのか」

「うん、てか使いこなせないだけなんだけどね」


「それにさ、ハートとか使うのちょっと恥ずかしくてね」と続け、カチカチと文字を打つ。
世話しなく親指を動かし、画面に『送信完了』の文字が浮かぶのを確認してから携帯を閉じた。

一瞬の間をおき、メタルマンの携帯のバイブが響く。
手慣れた指先が携帯を開く音を、視線を向けずに聞いた。


「…………」


流れる沈黙に、内心バクバクと暴れる心臓を必死に抑えながら静かに息を飲む。


「っ、きゃ!」

「…俺もだ」


不意に伸びてきた腕に、後ろからすっぽりと抱きすくめられ、耳に触れた唇から直接鼓膜に響く低音。

完膚なきまでに熱を持つ頬を感じながら、絵文字の力をほんの少し実感していた。






絵文字


(ハートの揺れるダイスキの文字)


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