お題消化

□魂の欠片
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日の光とも月の光彩とも違う、紫に揺らめく光を零す欠片は、いつ見ても不思議な代物だと思った。

熱くも冷たくも無く、今まで目にしたどの物質とも違うソレを手にした彼は、苦しげに表情を歪めて頭を抱える。


「………ッ!!」

「ゴウさん、大丈夫ですか!?」


失った記憶が一気に流れ込む衝撃と、断片的に見える惨劇の映像は、彼の脳を容赦なく貫いて行った。


「……ッ、俺は…」


また一つ、ゴウは失われた記憶を取り戻し、その冷たい現実を知る。

例え、ソレが飲み込み難い苦しみだとしても、取り戻さなければならないのだ。
彼の魂に刻まれた業が、どんなに重く深いものであったとしても、それは間違いなく、彼自身のモノだから。

記憶を、魂を無くす傷みは…“分からない”苦しみは、永久に晴れる事の無い闇と同じだ。

それを私は、痛い程に知っている。


「……ゴウさん…」


私は、瞑目し深く息を吐き出す彼に近付き、そっと腕に触れた。

何も言わず、その大きな掌を両手で包み、流れる体温と共に想いも伝わればいいと願う。

ゆっくりと顔を上げた彼の眼差しは、鈍い光を湛えていた。


「…そうか。これが真実、か」


低く声を零し、ぐっと握り返す掌に力を込めたゴウの横顔は、傷みに耐えながらも強く、強く、前を見据える。

写し取られた魂が、音も無く爆ぜる炎のように揺らめいた。





の欠片


(ソレは、闇を晴らす唯一の光)



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